バイオリン"J.T.L."
このバイオリンは、19世紀後半のフランス・ミルクールを代表する楽器メーカー、ジェローム・ティブヴィル・ラミー(Jérôme Thibouville-Lamy、通常J.T.Lと略される)によって製作されたものです。J.T.Lは、ミルクールで最も著名な工房の一つとして知られ、19世紀当時、高品質な弦楽器を効率的に生産する体制を確立していました。プロの演奏家向けの楽器から学生向けの手頃なモデルまで幅広く手掛け、その楽器は今なお多くの愛好家に親しまれています。J.T.Lのバイオリンは、フランスらしい洗練された音色と手堅い作りが特徴で、古楽器市場でも一定の人気を誇ります。
当工房では、このJ.T.L製バイオリンに徹底的なメンテナンスを施しました。古い楽器ならではの温かみのある音質と独特の外観を最大限に活かしつつ、現代の使用にも耐えうる高い耐久性を確保しています。長い年月を経た楽器には経年劣化がつきものですが、今回のメンテナンスにより、新たな命が吹き込まれ、演奏者にとって信頼できる一本に仕上がりました。
この楽器は、イタリア留学時代に知り合った職人仲間から買い付けたもので、その縁のおかげで求めやすい価格での提供が可能となっています。歴史あるミルクールの音色を手頃に楽しみたい方にぜひお勧めしたい一挺です。
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