ニス製作
一般的に、マスターメイドの楽器の場合、ニスも一から調合をします。
100人の職人がいればレシピも100通り。
私も未だに時間を見つけては実験の日々でございます。
そんなニスづくりの一部をご紹介しましょう。
バイオリンに塗布されるニスには大きく2種類あります。
アルコールニスと、オイルニスです。
色々な例外を無視してざっくりと説明すると・・・
アルコールニス・・・アルコール(エタノール)に樹脂を溶かして調合。一般的に着色には染料を使う。
オイルニス・・・オイル(乾性油)と樹脂を混ぜ合わせる。紫外線を当て、乾性油の酸化重合により固化。一般的に着色には顔料を使う。
作り方ですが、アルコールニスは、アルコールに樹脂を混ぜれば完成です。レシピにもよりますが、基本的には作るのはそんなに難しくありません。 対して、オイルニスは割と面倒な工程を踏むことになります。
まず、樹脂、乾性油を熱処理します。高温で数時間~数十時間煮詰めるのです。
温度は、モノによって異なりますが、場合によっては300度近くで数時間煮詰めることもあるので、危険が伴う作業です。
その上この作業、凄まじい量の煙と臭いが出ます。のろしです。うかつにやろうものなら通報されます。
というわけで人目につかない川原などでやりましょう。
この熱処理を施すことで、ニスがより乾きやすくなり、ニスそのものの色も濃くなっていきます。
熱処理を施した樹脂と乾性油を混ぜ合わせ完成ですが、この時に重要なのが比率です。
樹脂によって適切な比率は異なりますが、ニスの乾きやすさ、質感を大きく左右するポイントになります。
私は製作ではこのオイルニスを好んで使用しています。
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