チェロ弓"アンドレアス・デルフラー"
デルフラー、信頼の弓製作の系譜
デルフラー家は、四世代にわたり弓製作者としてその技術と伝統を磨き上げてきたドイツの名門です。ジャーマン・ボウの伝統を確実に継承しつつ、現代の技術やニーズに応じて進化を続けるその姿勢は、世界中の弦楽器製作者や演奏者から高い信頼を集めています。
初代ダニエル・デルフラーによって弓製作が始められたのは1940年頃。以降、息子のエギディウス、孫のギュンターとウォルフガングがその遺産を引き継ぎ、現在では第四世代のローランド(ギュンターの息子)とアンドレアス(ウォルフガングの息子)が伝統を守りつつ新たな挑戦を続けています。彼らは最新の技術や知見を取り入れ、デルフラーブランドをさらに進化させることで、今後の活躍がますます期待されています。
品質へのこだわり
デルフラーの弓は、入門モデルから上級モデルまで、全てのパーツ(フロッグを含む)を自社で製作している点が特徴です。特に、工房では30年以上シーズニング(自然乾燥)させたペルナンブコ材を豊富にストックしており、弓のグレードに応じた最適な素材を選び抜くことで、驚異的な品質の安定性を実現しています。このこだわりが、デルフラーの弓が世界中で愛される理由の一つです。
アンドレアス・デルフラーの軌跡
第四世代の一人、アンドレアス・デルフラーは、幼少期から父ウォルフガングのもとで弓製作に親しみ、ミッテンヴァルトとマルクノイキルヘンの製作学校で技術を磨きました。そこで国家資格「マイスター」を取得し、伝統的な技術に現代的な感性を融合させる礎を築きました。また、フランクフルト・ムジークメッセなどでの国際的な交流を通じて、現代の弓に求められる洗練されたデザインや高い精度への理解を深めてきました。
「Andreas Dörfler」の刻印が施されたモデルは、2013年から開発が進められた新世代のマスターボウです。現代の演奏者が求める高い演奏性とスタイリッシュなデザインを追求するため、アンドレアスは名工サルトリの作品や現代のトップ製作者の弓を研究し、デルフラー独自のスタイルに昇華させることに成功しました。このモデルは、伝統と革新が見事に調和した一品として評価されています。
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